ドックフードは大きいし重いのでネットで購入する生活になって久しいけれど「後一食分しかない」矢先の金曜の夜、注文のネットバンキングでパスワードの打ち込みミス。過去にも何度かやってしまった口座ロック。うわぁー週末を過ごす食費も無い!こうなると都心の一人やもめは、もうお手上げだ。犬も飼い主もお腹をすかして目覚めた2日目の日曜のお昼前、電話が鳴った。青山学院前でイタリアブランドのバイヤーをしている友人Aさんから、溜まっている仕事の処理で休日出勤との事。事情を話すと「いいわよ会社にいるから」「これから向かう」と電話を切り、タロも顔なじみなので、散歩がてら青山通りと骨董通りの角にある会社まで向かった。が、今年になって俄然老化が進行しているタロ。表参道の中間でスタック。後ろ足が悪く歩きたがらない。やむなく家に引き返してタロはお留守番。
ラフォーレ原宿前でお疲れのタロ
ひとりで救援カンパを受けに会社へ向かった。Aさんから「タロちゃんと美味しいもの食べてね」と、3000円の救援金を得ての帰途、表参道交差点前で、ビックイシューを売っているホームレスさんの扱っていたバックナンバーの表紙が目に止まり、思わず300円で購入してしまった。3000円のカンパの1割だ。帰り道にある行きつけの食堂ロータスでご飯を食べながら読もうと、とっさに思った行動だった。が、頭は回った。煙草を買って300円。ビックイシューで300円。残りは2400円。ランチを食べれば15〜600円はかかる。コンビニで売っている緊急用ドックフードが500円ぐらいだ。こりゃ待てと、遠回りになるが千駄ヶ谷3丁目の生協まで向かい、食パンやバナナ、安売りの佐藤のご飯などを仕入れて、その足でコンビニのビタワンを調達して帰宅した。ともかく災害時食で犬と日曜日を無事過ごす事ができた。Aさんには涙の感謝。そして今日午後、UFJの表参道支店に出向き無事、解除の手続きを終えて、Aさんにはネットバンキングで送金。ドッグフードも注文できて明日の午前中には8キロのタロご飯も到着する。
思わず買った THE BIG ISSUE 表紙が悪いよ。
熱帯夜明けの早朝タロ散歩で家を出ると隣にあるカフェの外席で、ホームレスと思われる老人が疲れ果てたように寝込んでいた。その姿を見て、僕はポケットに入っていた小銭全額300円をテーブルに頭を付け倒れるように寝込んでいる老人の手元に置いて「これで何か食べて下さい」と声をかけたことがある。ビックイシューの300円しかり、都会にいると、そして年を取ると、独り身は、屋根があるかないかをいとわず、精神のホームレス孤独が身につまされる。屋根があっても、数年前、生活保護を断られた中年男性(自分と同じ年だったと記憶する)が、せめて「おにぎりが食べたい」と書き残して孤独死していたニュースが社会問題となっていたが。人がいっぱいいるにもかかわらず誰も頼る人がいない孤独。誰にも気にかけてもらえない孤独。僕自身もこの10年で、2度ほど屋根を失いかけた事があるだけに、人ごとには思えないのだ。どんなに孤独か。誰にもわかってもらえない事が。どんなに生きる事を否定されてしまうか。屋根がある無い、金がある無いに関わらず、尊敬していた数少ない団塊人の加藤和彦さんの自殺がよくわかるだけに、僕は貴重な300円をビックイシューに投じた。うららかな日曜日のにぎやかな表参道だけに。切ない貴重な300円だった。そして、かえすがえすも思い出の軽井沢で孤独死の選択は辛い。人は誰かに必要と思われなければ生きられないのだ。生きる気力を失ってしまうのだ。
家の隣のビストロ・ダルテミス
P.S. 近くのAさん!遠くの恩人Sさん!本当にありがとうございました。タロ&ヨシ。
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