「NEW PEOPLE」サンフランシスコ (2009)
NHKの超ヒット番組「東京カワイイTV」は、2008年の放送開始以来、あっという間にネットから欧州に飛び火し、すでにパリで、マドリードで、モスクワでと、海外でもヒット番組となって世界に東京カワイイが闊歩する空前の世界同時「カワイイ」ブーム。そんな潮流は、ついにアメリカ本土はサブカルのメッカSF(サンフランシスコ)の日本町に、日本カルチャーの最前線を集積した「NEW PEOPLE」が、満を持して8月15日オープンした。
VIZピクチャーズが4年前から開発してきた「NEW PEOPLE」には、オープン前夜から並んだ500人を超すアニメ、マンガ、ゴスロリ、東京カワイイ、日本のグラフィック、映像、音楽などのJPOPカルチャーマニアが集結。ギャビン・ニューサムSF市長を始め、日本からは長嶺安政SF日本総領事ら、サンフランシスコの政財界、文化人に地元クリエーター、そして「20世紀少年」の全米プレミアに合わせて雪路役の常磐貴子が着物姿で、また仮面の「ともだち」、プロデューサーの飯沼伸之氏も駆けつけて、一民間の商業ビルにも関わらず日米、街をあげての華やかな日本カルチャーのオープニングとなった。地元経済界では今夏最大のニュースとか。ちなみに全米ではコアなJPOPカルチャーファンが1000万人とも伝えられる。
「ウォルト・ディズニー本社ビル」フロリダ(1991)
1991年、アメリカのアニメの殿堂「ウォルト・ディズニー」本社ビルの設計は、丹下建三の直々門下生3人衆のひとり磯崎新だった。
「美術の工場」ポンピドゥー・センター パリ(1977)
1977年、フランスのメディア芸術(現代・映像・音楽)の殿堂 通称「美術の工場」ポンピドゥー・センターは、丹下建三を師と仰ぐ外門下生3人衆のふたりレンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースの設計が時代の話題をさらった。
1953年、NYの「国連本部」の設計は、日本オタクが生んだモダニズムの旗手ル・コルビジェが設計リーダーとなって、オスカー・ニーマイヤーら、世界から日本マニアのモダニストが集結して設計された。そして2004年、老朽化し手狭になった国連ビルの新館計画「新国連ビル」の設計は、丹下謙三の直々門下生3人衆のひとり槙文彦が担当して現在進行中。
「ユネスコ本部ビル」パリ(1958)
1958年、パリの「ユネスコ本部ビル」は、やはり日本オタクの会「バウハウス」の首謀者ル・コルビジェを最高顧問にマルセル・ブロイヤー、そして西洋と東洋のハーフ「和を持って尊す」イサム・ノグチが桂離宮と並ぶモダンな日本庭園で足元を支え、パブロ・ピカソまで参加した錚々たるメンバーの傑作コラボ建築。
世界の平和の象徴。世界のメディア芸術の殿堂。20世紀の世界の「文化・文明・建築」遺産のDNAはMIJ(メイド・イン・ジャパン)ジャパンカルチャーが思潮の支柱だった。
世界遺産「東大寺大仏殿」奈良(758)
世界一「世界遺産」が大好きな我が日本人は、いつから自ら未来の世界遺産作りをほうてきしてしまったのだろうか。3000年来の営み日本文化、その伝統の先で現在進行形な「アニメの殿堂」を悪しきハコ物よわばりし、コストカットの生け贄にする品性のなさには呆れてしまう。しかも、新聞・テレビ、マスメディアと、いわゆる知識人とされるコメンテーターの論調を、まるでオウム返しに口移しに、お若い当事者世代までが、マイクを向けられれば「ムダな箱モノ」となじる始末。1964年の東京オリンピックでの丹下謙三をおいて、以後、日本国内で日本人による未来に残しうる建築文化、未来の世界遺産は皆無とは本当に情けない惨状だ。
「国立代々木体育館」東京渋谷(1964)
建立以来1250年。人類史上最大の木造建築を誇る 世界遺産「東大寺の大仏殿」。しかしその年月には、幾多の戦乱の中で、朽ち錆び焼かれた大仏を、先人たちの手によって4度の修復をへて、今にいたる。300年前、公慶はたった一人で、修復・建立の資金を調達するために全国を勧進行脚。7年がかりで、目標の一万五千両(今に換算して10億円)の寄付を集め、のべ500人の大工、10万人の民衆ボランティアのリレーによって、樹齢1000年の巨木を宮崎から運び、10年がかりの工事の末、日本を守る仏様の大仏殿を完成させた。志に賛同した民衆からの寄付と、金はないが労働で奉仕したボランティアによって、今に残され伝えられている。同様に現代では、世界遺産 ガウディーの サクラダ・ファミリア教会 も、 今なお多くのボランティアによって作り続けられているが。
世界遺産「オペラハウス」シドニー(1973)
僕はかねがね吹いてきたが「アニメの殿堂」は、最低でも1000億規模の建造プロジェクト。年間の維持運営費で100億だと。数百年来世界が好奇に模倣したがる日本カルチャーの総本山なのだから。最先端の環境技術と建築技術、そして最前線の建築デザインを咲かせる未来の世界遺産を創建する国家的プロジェクトだと。シドニーのオペラハウスじゃないが、村上隆がオマージュした手塚治虫のアトムのとんがり頭を、プラダビルを超える最新の日本のガラス技術、可視する太陽光パネルガラスで建造する柱の無い巨大なスノードーム。四季を映すジャパンカルチャーのファンタジアを。それは世界中から老若男女が詣で、外貨を永遠に稼ぎ続ける究極の日本の文化ビジネス。ランニングコストもイニシャルコストも、たちどころに回収してしまうだろう独占的ビッグビジネス。税金のムダ使いどころか、国民、国家の未来に利益を生み続ける、未来に才能を育て続ける、巨大な日本の文化産業。他国の追随を許さない決して真似の出来ない唯一無二の枯渇しない未来の文化油田なのだが。
「プラダビル」東京青山(2003)
黒澤明がいなければ今日のハリウッドは無いに等しい。ハリウッドの代名詞、ジョージ・ルーカス、スティーヴン・スピルバーグ、クエンティン・タランティーノも存在しないかもしれない。ウォルト・ディズニーだけでは、世界のアニメ産業は発展しなかったろう。かつて15世紀から17世紀まで続いた大航海時代、マルコ・ポーローは離れ小島故たどり着けなかった見果てぬ謎の文化を黄金の国ジパングと「東方見聞録」に記し、19世紀末パリ万博での日本デビュー以来、ゴッフォを頭とした印象派にはじまる日本オタクを世界に排出し、20世紀初頭には、日本のミニマリズムはバウハウスによるモダニズムを世界に布教し、21世紀のネット時代に、3000年来の日本文化「理にかなう」「カワイイ緻密」「ポップな雅」は、「和」が救う世界の未来と相成った。地球環境との調「和」。核の無い世界平「和」。世界は「個」の文化では生きられない。必要なのは理にかなった自然循環「和」の文化。さぁーそのシンボルを「東大寺大仏殿」から1300年後の今、「アニメの殿堂」に昇華して、いざ建立の時。文化をわきまえない国が政治家がダメなら、いっそ東大寺のように民衆のボランティアで、未来1000年後に残しうる日本が誇る人類の文化遺産を。作らなきゃ。創らなきゃ。造らなきゃ。☆政治家に最も必要な能力は「文化力」。それすなわち歴史を振り返ればわかる通り、政治の結実が「都市造営」に他ならないから。
0 件のコメント:
コメントを投稿