レンズとインクに後押しされて

Photograph by Richard Avedon.

Model is Veruschka. Dress by Kimberly. New York, 1967

Drawing by Robert Longo.

Man in the cities. New York, 1981.

リチャード・アヴェドンとロバート・ロンゴ。供にNYらしい、供に広告くさ〜い、写真家と美術家。コマーシャルな企て業に目覚めたての頃、僕を襲ったふたりの衝撃。単純は強烈で普遍を教わった。疲れたり弱ったり迷ったりしたら、いつも消えそうな心の炎を焚き付けてくれる。レンズで捕えたインクで描いた目と線の創造と想像。お爺ちゃん（残念ながら2004年他界）と同級生の確信に、初心が蘇り奮い立つ。もう落ち込みっぱなしだからネ。加藤和彦さんの死は追い打ちかけるし。

EGOISTE cover Photograph by Richard Avedon

【リチャード・アヴェドン】言わずと知れた20世紀を代表する広告ファッション写真家（1923-2004没、享年81歳）。マーティン・ムンカッチの躍動感ある視線に刺激され、それまでスタジオ中心だったファッション写真を、屋外で動きのあるモデル撮影によって斬新な飛翔感、重力のある無重量感というべきか、まるで水中のようなしなやかな姿態美を確立。作品にストーリーを持たせ、60年代のアバンギャルド、ポップカルチャーをミキシングし、いち早くアジア系、アフリカ系のエキゾチック＆フォークロアなモデルを起用するなど、常にファッション写真の境界線を地球サイズに拡大させた、写真革命の旗手だった。そのキャリアは1944年、若干21歳で「ハーパース・バザー」誌のカメラマンデビューに始り、「ヴォーグ」「エゴイスト」「ザ・ニューヨーカー」と、カバーを撮らない雑誌が無いほど時代をリード。60年代以降、その後に続く多くの写真家に、多くのエディター、アートディレクター、スーパーモデル、スタイリスト達に影響を与えた広告写真界の巨匠。

Robert Longo MAMAC in Nice, France.2009

【ロバート・ロンゴ】現代美術家。1953年1月7日、ニューヨーク市生まれ。NYバッファロー州立大学卒業後、80年代の美術界を席巻した「へたうま」ブームに「街の人々」メン・イン・ザ・シティーズの連作で鮮烈にデビューした、ニュー・ペインティングの正統的技巧派。NYでタクシー・ドライバーをしていた無名時代、都会に生きる人の動きを観察していた視線から、不自然な体のねじれ、風に舞うネクタイやスカート、動きで皺よるヤッピー達のリアルな服装、爆風で吹き飛ばされたような強烈な構図と描写を編み出す。木炭、鉛筆、ペンで丹念にドローイングされた未体感の身体に見る者も空を舞う。1995年、キアヌ・リーヴス、北野武を起用したSFバイオレンス映画「JM」を製作するなど、フィルムにも表現を拡大。80年代を代表する野心的知性派アーティスト。P.S. 実は80年代後期に1点のリトグラフをゲット。自分史と重なるレトロスペクティブ・センチュリー。

しかし、未来に後を追わせる何て、先駆者ってカッコいいなぁー。どう見たって、後のコーエン兄弟の傑作「マトリックス」1999 に多大な影響を与えたと思いませんか？それは邦画の「ピンポン」2002 に、近作の「ウォンテッド」2008 に。今日あたりまえのCG、FSFが、手書きの時代の後を追う。クリエーターはこうでなくっちゃ。アーティストはそうでなくっちゃ。意味がない。醍醐味がない。やってられないっス。後を追う何て、情けない。後を追われて、なんぼの商売っさ。1931年に、もうすでに、手がCGしてる天才ダリの「記憶の固執」を見たら辞めたくなるでしょうに。