2009/12/13

A Day In Paris と 2 Days in Paris



眩しいすぎる師走の小春日和だった土曜の昼下がり、タロ散歩で立ち寄ったオン・サンデーズで、こんなふれこみ(下英文)の『A Day In Paris』(CDブック/ハードカバー)を手に取りとっさによぎったのは「あぁ〜このTOKYO版が欲しい」。それも、日本人と外国人の男女が見開きで対になった鏡のような東京が。異性と異文化。まったく見立ての違うアングル&フォーカスの東京が聞きたい見たいと。そのぽっと浮かんだ元ネタが『2 Days in Paris』。たぶん誰しも異国で自国の文化や自分のアイデンティティーに遭遇したり、求められたり、考えさせられたり、彷徨ったりした事がきっとあるでしょう。ソフィア・コッポラの「Lost in Translation」、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの「Babel」、イザベル・コイシェの「Map of The Sounds of Tokyo」のように、毎日見慣れた東京の日常が、まるで犬のアイレベルで見ているような、たなびく草のフィーリングで感じているような、見た事のない景色に、感じた事のない気配に、こうも異国人の目や感覚からすると同じ風景が違って写ってるんだと怖いほどの新鮮に驚かされる。それって、録音された自分の声や鏡に映った自分の姿みたく、思い込んでいた自分とちょっと違って、でもそれが本当の自分なんだと自分の客観視を受け入れる。同じ物が違って見えるカルチャーショック。思い込みのラグ。そんな違和とおかしみ。

A Day In Paris takes you on a tour from morning to evening. Everything from Street Cafe's, boutiques, artists studio's, restaurants and even hip clubs are featured.
Includes 4 Music CD's from pop to rock to soul and chansons.


1984年アーティストの社交場となればと、パリのカンカンポア通りにアニエス・ベーが開いたギャラリー「ギャラリー・デュ・ジュール」で、97年ぐらいだったか日比野克彦のリモージュ焼きの個展があった。日比野氏は以前からフランスの伝統工芸リモージュ焼きの芸術大学から依頼を受けて年に一度、リモージュの工房にこもり作品を作っては発表していたころの話。そのオープニングの会場で、三々五々集った来場者に挨拶していたアニエス・ベーさん、日比野氏を介しながら人と人を紹介しては挨拶回りをしていた。で。次々と紹介してくれたのはいいのだが「彼は元ダンナの◯◯◯ネ」「今の人が愛人の△△△」「そう、向こうで笑っている彼が最初のダンナの□□□」と、次から次から登場するは、今の恋人、不倫相手、元ダンナ、さらに最初のダンナと、もう一体何人 彼女のEXさんたちが会場に来ているのか覚えきれない展開に仰天。さすがはジュテーム大人のラブーな都パリだった。ま。ボクも人さまが集まる場所では、たまにそんな光景になりかねない恋と結婚の華麗?な経歴がある身としたは、とても納得がいったのではあるのですが。

しかしこれが火種で交際2年の若い男女の愛がゆらぐラブコメディーが、パリジェンヌのウッディ・アレンと評されるジュリー・デルピーの脚本、主演、監督とひとり3役をこなした小品「パリ 恋人たちの2日間」2 Days in Paris (2008年公開)。物語は、NYに住むフランス生まれのフォトグラファー (ジュリー・デルピー)マリオンとアメリカ生まれのインテリアデザイナー(アダム・ゴールドバーグ)ジャックがベネチア旅行の帰りにパリの彼女の実家で2日間滞在するところから始まる。のっけからジャックはマリオンの父親からのテストを兼ねた質問攻めや家族の奔放な会話に戸惑い、マリオンの友達のパーティでは彼女に意味ありげな視線を送る男、パリのタクシードライバーはみな差別主義者でマリオンに色目をつかい彼女もまんざらでない色気を漂わせ、さらにはふと入ったカフェで彼女の元カレに何人も遭遇。はじめは何とかカルチャーショックさ Lost in Translation を楽しもうとつとめていたものの、嫉妬心に苛まれた彼のイライラは募るばかり、しだいに彼女に対して疑念がほたげ、ついに大喧嘩。とまあ。あるある思い当たる話なのだが、どなたかの物議をかもした名台詞「不倫は文化」じゃないけれど、曖昧模糊に暗黙する愛欲の都パリと何でもギスギス契約の街ニューヨークじゃ〜仏米双璧の異文化摩擦。日本秘伝の奥ゆかしい暗黙の粋とは違う、おフランスのある種、滑稽なまでに堂々とした愛欲の営み、ボク的には「いいね」なんですけど。


異性の彩ならわかりやすいブルース・ウィルス&ミッシェル・ファイファーの「ストーリー・オブ・ラブ」The Story of Us(1999)。異文化の彩ならケイト・ハドソン&ナオミ・ワッツの「ル・ディヴォース パリに恋して」Le Divorce(2003)。次元の違うシャレならもう「ワン・ナイト・スタンド」One Night Stand(1997)に尽きます。必見♪

P.S. タイガー・ウッズのシャレにならない狼狽ぶりと6度目の結婚を果たしたもはや老獪 角川春樹。学ぶ事が多いネ。

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