stimuli いわく「銀座のママは刺されないが、地方のスナックのママは刺される」。詠み人知らずいわく「政治は性事」「歴史は夜(ベットで)作られる」。古今東西、男は弱く女は強い。男は口説く時も別れ際も女を追いかける。女は迷い焦らし貝になり突然遮断する。良くも悪くもストーカーは紙一重の男の仕事。選ばれる身だから選ばれようと、振られる身だから振られまいと。これが種の摂理。サバイブの掟。女は種の生存のために最強の精子を選ぶ立場、そしてその卵を死守する宿命。故に、男からすれば、自己中にも寝返り裏切りは当然だ。甘味な官能・肉欲を餌に男の理性を惑わし麻痺させ利用して破滅に導く悪女映画の金字塔「白いドレスの女」にしろ金字塔を狙った傑作「氷の微笑」はわかりやすい。
男が女を魅きつける唯一の手だて権力。社会的「外見」地位・名誉・金力。肉体的「外見」姿形・筋力・体力。「外見」は劣れど苦難困難を乗り切れる笑いや未知の道を切り開く 知力・感力・脳力。そして希有だがその全てを持ち合わせるスーパーマン。その最高権力者、時の総理がバーでため息をつくだけで、翌朝の新聞にはクソミソに書き立てられ、株価は変わり、世界経済、国際政治を変えてしまう。側近中の側近、盟友でさえ寝返るのが権力界の常識「政界は一寸先は闇」誰も信用できないのがセオリーだ。だから男は年とともに孤高にならざる得ない。唯一、胸の内を吐露できる安らぎの場、恋人、妻、家庭。たった一人の女の胸を借りて泣かざるえない。女より強いけど女より弱い生き物の所以だ。政界、財界、学会、芸界、明日の株価を、政治を変えるニュースな権力者が銀座のクラブでママとたわいない時を過ごしては、緊張の不安のバランスを取る。そんな男と女の摂理と節度をわきまえた銀座のママは、孤高の男達の志を鼓舞して泣き言を上手にあやす。そしてその秘め事を決して漏らさぬ女のプロ。だから銀座は高い。がしかし、摂理と節度、役割を心得ない地方のスナックのママは体を奪われ男に刺され、時には金まで取られてしまう。銀座のママはニュースにならないが、地方のママは芸能紙を飾る事になる。男を育て男の成功の名誉と金を刈り取る"あげまん"。藤本義一いわく「男の顔は履歴書。女の顔は請求書。」は奥深い名言だ。キャスリン・ターナー全盛期に主役を張った映画「男と女の名誉」PRIZZI'S HONOR (1985)。「アイリーン。アイ・ガット・シー・ユー。」ラストシーンで脇役のアンジェリカ・ヒューストンがジャック・ニコルソンに吐かせる名台詞。邦題が見事に言い得た、男社会イタリア系マフィアの命をかけた血の結束より、女の狡猾さが遥かに勝る名作だった。
PRIZZI'S HONOR
いつもながら寝転んでの気分転換なスカパーライフで、今夏初めて見た映画2作は夏休みらしく、カリブ海・豪華クルーザー・無人島、そしてお決まりなメイクラブが、ゆるくあまい共通項で楽しめた。ケイト・ハドソン&マシュー・マコノヒー主演「フールズ・ゴールド」FOOL'S GOLD(2008)は、別れた妻とのトレジャーハンティングのラブコメ。日本未公開 ビリー・ゼイン&グラマー女優ケリー・ブルック主演「サバイバル・アイランド」THREE(2006)は、豪華クルーザーの火災から遭難した富豪とその妻、そして若いクルー。助かった2人の男と1人の女、THREEが無人島で繰り広げるエロティック・サバイバル・サスペンス。
カリブ海での宝探しと言えば元祖、ジャクリーン・ビセットの「ザ・ディープ」The Deep(1977)に尽きるけれど、人気女優&男優がさらにラブコメ度アップした宝探し。方や限りなくCに近い南海の孤島での遭難もの。だが、この「外見」は金力ある中年男と「外見」は筋力ある若い男と、生き残るためには夫婦の契りも大人の約束もゆるく甘く官能で溶かし渡り歩く女の生存をかけた狡猾な体技の駆け引きは限りなくお粗末な作りなのにのにテーマは深淵で、男と女のサガ(性)を思い知らされる「男と女の名誉」級に唸る秀作だった。ぜひ、まだ夏日のけだるい昼下がりにご覧あれ。開放的な南海のまばゆい太陽と海と砂浜、そして裸体。繰り広げられる白いビーチでの、寝返る、寝取る、寝物語には、きっと欲情を刺激させられながら種の生存本能が繰り広げるサバイバルに思惟を刺激されて後味お見事かもです。C級の「男と女の名誉」はあなどれない。
それにしてもグラマー女優ケリー・ブルックの裸体と寝技は「マッチポイント」で魅せたスカーレット・ヨハンソンの妖艶ぶりよりはるかに卑猥。素の体が全てを演じる。演技なき演技の名演だ。"Looks Can Kill" と記されたライナーノーツのコピーどおり。女の武器は見事な凶器。悩殺される。
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