戦後、欧米先進国に追いつけ追い越せと1964年の東京オリンピックを契機に爆走した日本。21世紀に入り気がつけば20世紀を形作り、世界を100年支配したアメリカは見事な倒産。見渡せば、日本の車が、日本のテレビが、日本のアニメが、日本のスシが、日本のロボットが、日本のカワイイが、世界の津々浦々まで浸透し一人勝ち。故障が少なく安全で、より軽く・より小さく・より薄く・より安く・より美しい「精緻で緻密」そして「雅で可愛い」。いずれも理にかなう自然からの恵みに学んだ「ミニマル」と「カラフル」。2670年の日本文化が席巻していた。世界が望む地球が望む、電気自動車、太陽光発電。世界が魅せられる地球が喜ぶ、アニメにマンガ、スシにロボット。人にやさしく地球にやさしいヘルシーでエコロジーでカワイイ文化。その始まりは、パナソニック(松下電気産業)や、ソニー(東京通信工業)や、ホンダ(本田技研)の、一創業者たちの気骨と真髄にあった。そんな0から始まり、わずか50〜60年で世界を幸せにした日本企業の黎明期の苦闘をNHKスペシャルで以前観た。その良き件(くだり)をソニーの社歴で発見したので記したい。というのは、近々「美術の工場と萌の館」と題して提言したくてネ。ま、その前書きか。
1945年(旧東京通信工業)ソニーの創業者 井深大と盛田常夫が高い志をかかげて起業した黎明期、出鼻で会社の存亡がかかった経営的危機に瀕した。泣け無しの資金で巨大市場アメリカへ営業に出向き「喉から手が出るほど目先のお金(仕事)が欲しい」その時、下した判断が今のソニーを今の日本を生んでいる。必見の一瞬!日曜の夜、スルーせずに、ぜひご一読を!◆以下SONYのホームページに記載されているソニーの歴史全16章の第3章全文。
第3話 幻の“国連ビル”ラジオ
盛田は2ヵ月の渡米中にアメリカ向けマイクロホン1,000個、放送取材用テープレコーダー10台の輸出契約を完了した。さて、サンプルとして持って行ったTR-52(写真左)であるが、こちらのほうはアメリカの大きな時計会社「ブローバー社」から引き合いが来た。「その値段で当方はOKだ。10万台のオーダーを出そう」。即座に商談は成立するかに見えた。ところが盛田は、相手の出した条件が気に入らない。「SONYでは売れない。当社の商標を付けさせてもらうよ。何しろアメリカでは、SONYといっても誰も知らないんだからね」。これが条件だった。「絶対に断るべきだ」。盛田の気持ちは決まっていたが、こんな大きな商売だ。盛田の一存で断るわけにはいかない。ホテルに帰って、すぐ日本に電報を打った。「10万台の注文を受けた。しかし、それには彼等のブランド名を付けなければならないという条件が付いているので、断るつもりだ」。折り返しすぐに返信が来た。「10万台の注文を断るのは、もったいなさすぎる。名前なんかいいから契約を取ってこい」という内容だ。盛田にもこの気持ちは痛いくらい分かる。だからといって説を曲げることはできない。もう一度「断りたい」と打電した。それでも結論が出ない。ついに盛田は日本に電話をかけた。「絶対に向こうの商標を付けるべきではない。せっかくSONYという名を付けたんだ。われわれはこれでいこうじゃないか。第一、10万台の注文をもらったって、現在の東通工の態勢ではできやしないじゃないか」。手持ちの少ない米ドルを使って、電話までかけて説得したのだ。やはり、断ることにして、盛田は注文先の会社に行き、その旨伝えた。
「誰がSONYなんか知っているんだ。自分の所は50年かかって、世界中で知られるようなブランドにしたんだ」。先方の社長は盛田のことを、いかにも「商売を知らないやつだ」というかのように笑って言った。「それでは、50年前、何人の人があなたの会社の名前を知っていたのでしょう?」。盛田は反論した。「わが社は、50年前のあなた方と同様に、今50年の第一歩を踏み出したところだ。50年経ったら、あなたの会社と同じくらいにSONYを有名にしてみせる。だから、この話はノーサンキューだ」。東通工の将来を考えると、目先の利益だけを考えていても仕方がないのだ。この話は、結局なかったことにして、盛田は帰路に就いた。1955年4月のことであった。
僕は昭和30年(1955年)4月3日に生まれた。ソニーの発展史とともに育った。身をもってMIJ(メイド・イン・ジャパン)が先進の欧米世界を駆逐して行く様を自分の背丈の伸び具合とともに生きてきた世代だ。あの屈辱の日から54年、米ブローバー社は一部の米アンティーク時計ファンには愛好されているが、精密機器、弱電部門からはすでに撤退。細々とロープライス、ローテクな地球のローカルなコピー時計店止まり。グローバルなソニーとは桁も格も品も、そしてブランドのネームバリューも比較にならない。◆僕には未だアメリカの経済が持ち直したら日本の経済も復調するような米信仰を語る識者やマスコミ人たちの言説が理解出来ない。そもそも頼らなくったって世界をリードしてきたのが日本なのに。
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