人生で一番長くつき合った女性といえば、去年別れた彼女との4年。結婚でも最長が3年だったから新記録だ。ただ元カノはスペシャル。熱く濃く深いファニーでユニークな大人の子供の恋だった。なにせ出逢ったその日に唇を奪われたのだから。そもそも誘われたのが私。その彼女は2回目のデートに野田秀樹の「走れメロス」を誘ってくれた。水野美紀ちゃんも一緒だけどと。3人分のチケットは当日シアターコクーンの入り口にあるからと。3者現地集合。遅れても名を告げれば入れる彼女の手はずだ。映画、演劇、ま、空港その他何でも、会場で待つのがキライでいつもギリギリに行くのだけれど、着いてみたらさすが野田秀樹。毎度の事ながら入り口は大混雑。ましてや芸能人は人混みではひかえめな装いでキャップを深くかぶりの目立たないし、なにより初対面だ。彼女と会うのさえ2度目なんだから。しかし通りから通路に入るやごった返すロビーで一瞬にして彼女の居場所がわかった。信じられない事に犬のような嗅覚。彼女の匂いの方角に行けばちゃんと見つかる。僕は彼女の犬なのか?ともかく味覚も音感もオンチで視覚は老眼。だけどなぜか匂いフェチ。嗅覚だけは犯罪捜査に貢献出来る自信があるほど犬並み。自分でも驚く鬼才。女臭の嗅ぎ分けはヘンタイだ。若者にしか聞こえないモスキート音のように、僕にしか嗅ぎ分けられないフィ〜メールのスゥ〜メールがあるみたい。
以前、テレビのバラエティー番組で、すべての女性が魅かれる男性の汗の匂いの実験をやっていた。ディスカバリーチャンネルでも同様なテーマの科学番組を見た記憶があったので、思わずその実験を見入ってしまった。「女性は危険な仕事をしている男性の匂いに魅かれる」しかもその匂いは「女性だけが感じる匂い」という説の実験で、お笑い男子とカーアクションのスタントマン男子ふたりが共にランニングマシンで走った後、胸板の一部だけを露出したブラインド状態で、スタジオの女子アナからお笑い女子、あの髙田万由子まで総勢5人が全員一致で、吸い寄せられたのはスタントマン男子の汗の匂い。それは汗臭いのではなく「惹き付けられる いい匂い〜」皆一様にうっとりにやける「抱かれたい匂い」なんだとか。にわかに信じがたく慌てたスタジオの石田純一以下男性陣5人は、ふたりの汗を嗅ぎ分けるも、皆一様に「どちらも単なる汗臭い」と、違いがわからず怪訝な様が可笑しかった。科学的な成分の詳細は忘れたが、すべての女性が抱かれたくなる匂いってあるんです。命を張った危険な男の。
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僕は エクアドル近海の離れ小島でひとり
小さなお花畑で毎日香水を作って暮らしたい。
南海の孤島で調香される僕の香は
今宵 浮き足の初デートに
ちょっと背伸びしたマドモアゼルが
ママのをこっそり拝借して・・・
ホテルのバーでの予期せぬ会話に
気がつけば席を立ち
バスルームの鏡の前で香を着けるマダムに・・・
世界の生娘からお婆ちゃんまで
すべての女性が ちょっとしたトキメキに着ける香。
お婆ちゃんの時代も ママの時代も 娘の時代も
代を重ねて受け継がれる香。
僕は この世のすべての男と女のちょっとした関係を
芳しい香で ”心躍る幸せ” の
目に見えないお手伝いをしたいと願うのです。
その香水は シャネルの stimulis(刺激) for romance
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神をのけば 人ができる唯一の見えないアシスト 香りの彩。男女を魅きつける耳元でのささやき 裏方冥利にほくそ笑む。今日は七夕。そして満月。本能に導かれて危険な香りの野生な夜をお楽しみあれ。
「うず潮」Le Sauvage (1975) 主人公イブ・モンタンは、エクアドル近海の孤島で自給自足しながら、ひとり香水つくる浮世離れした日々。そこへ、結婚初夜、ベットから抜け出し着の身着のままで逃げたカトリーヌ・ドヌーブは、パリへの逃亡資金に元カレのルノアールを盗みイブ・モンタンの島に流れ着く。かつてパパラッチに追われるほどのセレブリティーだったイブ・モンタンと妻。パリで名を馳せた世界的な調香師とNYに本社のある世界的化粧品メーカーの女社長との結婚は、経済誌からゴシップ紙まで賑わした彼もまた、ロマンスよりビジネスとしての契りだった妻から逃げての自由を手にした島暮らし。そんな仕立ての映画は、ちょっとドタバタがエスプリ効かす洒落た大人のラブコメディー。今見るには おフランスの70年代気分が微妙で新鮮。そしてタキシードを脱ぎ捨てスノッブな社交界から逃避した、その島暮らしの素敵なこと。憧れちゃう。小さな島から世界を幸せにするなんて。一滴の雫「危険な香り」で。
Le Sauvage 1975
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