古くはコンピューター ハルが事実を意図的に歪狭くして誤動作をしていく「2001年宇宙の旅」1968 に始って、未来の社会では、人の安全を機械によってより高めようとした、その機械の誤認識からの誤作動で人を危険にさらすといった、本末転倒劇をSF映画で度々目にしてきた。
人が並び、端の人から次の人へ、ある言葉を耳伝えしていく伝言ゲーム。当初のお題は、わずか数人を経るだけで、まるで違う言葉に化けている様を見たり体験した事があるだろう。2007年「バベル」を観終わって、人の不確実な伝言ゲームを思い出しながら映画館を出た。地球の田舎の子供らしい危険な遊びに端を発した1発の銃弾が、いあわせた観光客の大人たちには、場所柄、時期柄、テロの疑いと不安視されて、その不確かな現地からの感情的情報は大使館を通じて国家の国防が調査となれば、緊急を要する怪我人の搬送よりもテロの裏取りに事態は動き、やがてCNNを始めとする世界を巡るメディアに複製されながら、テレビやネットを通じて世界各地の人たちは誤認、誤作動の連鎖を複層的にトルネードさせてゆく。発端の些細な事実は、あっという間に、まるで事実とは異なる事が事実として拡散されて認識されてしまう。
7月5日(日)22:47:41 JST Google が運営する無料ブログサービス bloger から以下1通のメールが届いた。
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ユーザー各位
一瞬、何だ!これは?と思い当たるふしもなく、このメールの指示に従い即座に行動した。そして直ぐさま友人に電話をしてブログを見てもらった。その時点で、記載されているような「警告」の挿入はなく、安堵しながら話を終えた月曜の昼時、PCを開け昨夜からの不安だったブログを見ると、驚く文面の「コンテンツに関する警告」が張り付いていた。慌てて、ヘルプサイトを探し、問題を投稿して今日にいたる。その3日後、ほぼ文面通りロックの解除がなされた旨にサインは変わっていた。と同時にブログの投稿機能も回復している。しかし、今だトップに不快で不安を煽る不本意な「警告」は居座り続ける。ヘルプフォーラムで教えてくれたユーザーさんからの体験談によれば10日はかかるかも。という事だった。しかし事態は、検索サイトにも警告され、また当該ブログからは他へ一切リンクが出来ず、完全にネット社会から追放されている事態を昨夜知った。怖い。サイバースペースを巡回している機械が勝手に判断した情報に機械がプログラム通りに対応して、僕はネットスペースから完全隔離されてしまった。しかも、日増しに「警告文」のとおりな悪質なサイトとして、リアルワールでの誤認は深まるばかりだ。まるで、濡れ衣、えん罪だ。
日本ではウィンドーズ95が発売され、まだ高速ではない通信環境で、やっとIT社会が始ったころ。まだレンタルビデオ店では、DVDは数少なく、店名通りにVHSビデオで借りて見たサンドラ・ブロックの「インターネット」The Net (1995) そのまんまの境遇だ。パスポートも免許もクレジットカードも無効と書き換えられてしまい、しかも警察の犯罪者リストにあらぬ偽事件の虚偽の記録まで付けられて、どこへ助けを求めても、自分じゃない存在しない自分の偽記録だけが正しい情報として一人歩きする。実社会では要注意人物として追いつめられていく、その映画そのものが今、僕にふりかかっている。人の生死に関わる緊急事態ではないにせよ、機械の判断に機械が対応しての連鎖だけで、事実ではない事が事実として地球を駆け巡り、事実として定着してしまう怖さを、身をもって知った1週間。はてさて、本当に解決するのだろうか。この汚名は。不安だ。
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